2014/11/25

成功! キイロサンゴハゼの繁殖

飼育展示第一課 森 昌範

枝状サンゴの隙間などを棲みかとしているキイロサンゴハゼは全長3cm程の小さなハゼの仲間で、全身が鮮やかな黄色をしているためサンゴの隙間に隠れていてもひときわ目立つ魚です。名古屋港水族館ではキイロサンゴハゼの繁殖に日本で初めて成功しました。 2013年3月20日にキイロサンゴハゼの隠れ家として水槽に入れた模造サンゴに小さな卵が産みつけられていることに気付きました。卵を調べたところ長径が約1.2mm、短径が約0.5mmの楕円形で、約1,000個もありました。産卵の5日後、ふ化した仔魚は約2.5mmしかありませんでした。当然そんな小さな仔魚が食べる餌はもっともっと小さいものでなければなりません。

キイロサンゴハゼの卵長径1.2mm、短径0.5mm(ともに平均値)
キイロサンゴハゼの卵
長径1.2mm、短径0.5mm(ともに平均値)
ふ化直後の仔魚全長は平均2.5mmでした
ふ化直後の仔魚
全長は平均2.5mmでした

そこで、今回は体長0.08mmしかない動物プランクトンの「プロアレスProalessimilis」を一番初めの餌として与え、仔魚の成長に合わせて段階的に餌の大きさも変える工夫をしました。 ふ化後しばらくは透明の体で水面近くを漂うように泳いでいた仔魚ですが、その成長とともにキイロサンゴハゼの特徴であるうっすらとした黄色味を帯び始めました。そして、ふ化してから25日目には水槽の壁面にくっついている個体が現れましたが、はじめ200匹くらいいた仔魚はこの時点ではすでに7匹になっていました。このころは仔魚の成長に心が躍るような喜びを感じる半面、その生残数が少なくなっていることへの不安が入り混じるハラハラした心境でした。

その後育て始めてから7カ月経ち、わずか3匹ですが約2.0cmに成長しています。 今回、キイロサンゴハゼの育成に成功しましたが、たった3匹ではまだまだもの足りません。この先、育成初期の減耗の原因究明や初めて使ったプロアレスの効果を検証することによって、数百匹単位でのキイロサンゴハゼの繁殖はもちろん、まだ繁殖に成功していない魚種の育成にも道が開かれるように思います。 歳とともに近くのものが見えにくく視力の衰えを最近感じ始めた私ですが、メガネをずり上げて仔魚や餌となる微小生物を凝視する作業がこれからも続きそうです。

キイロサンゴハゼはサンゴの隙間に産卵し、ふ化まで親が卵を守ります
キイロサンゴハゼはサンゴの隙間に産卵し、
ふ化まで親が卵を守ります

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