2017/11/24

個性の光るヤド

2017.11.24. 飼育一課:山下 博史

突然ですが、この生き物に見覚えがありますか?

ご存じヤドカリなのですが、このヤドカリは名前を「カルイシヤドカリ」と言います。現在深海ギャラリーで展示されている、海の深い所に住むヤドカリの仲間です。ヤドカリは水槽の中だとどうしても脇役になってしまいがちな生き物ですが、このヤドカリはちゃんと水槽の中で主役として展示しております。

 名前にカルイシとついていますが、多くのヤドカリが貝殻を自分のすみかとすることに対して、このヤドカリは軽石(細かい穴が開いて多孔質になっている石)に穴を開けてすみかにするという変わった習性があります。ヤドカリが穴を開けた軽石はこちら。

きれいに丸く真っ直ぐな穴があいています。展示している個体が穴を開けているところを見たことは無いのですが、自然界では暗い深海で職人のごとく自分のヤドを作っているのかと思うと小さい生物なのに感心させられます。ちなみにヤドカリの大きさからしたら重たそうなサイズの軽石なのですが、割と気にせずにズリズリ引きずりながら動き回っていたりします。

 さて、この特徴的なヤドカリなのですが、実は展示水槽で幼生を産むというサプライズをしてくれました。ある日の夕方、水槽の中に数匹小さなエビのような生物が出現しているのを発見し、慌てて回収して確認してみました。

こちらが幼生の姿です。大きさはわずか2、3ミリほどで時折エビのように飛び跳ねて動きます。この幼生、どういう飼育方法が正しいのか情報がほとんどないため手さぐりでの飼育となっています。せっかく生まれてくれた命を無駄にしないためにも、試行錯誤しながら育てていけるように頑張りたいと思います。

 水族館には大小様々な生き物が展示されていますが、その中でも特に深海生物は不思議な生態をしている生物が多く展示されていると思います。彼らの姿形だけでなく、「へぇ~」と感心させられるような生態にもぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。

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