TOP > 名古屋港水族館 > TOPICS > 広報レポート 〜タイマイ野生復帰プロジェクト 2011〜 八重山諸島 黒島にて実施したタイマイの放流調査に同行しました
TOPICS
追記:平成23年10月12日
広報レポート
〜タイマイ野生復帰プロジェクト 2011〜 八重山諸島 黒島にて実施したタイマイの放流調査に同行しました
「サンゴ礁の海」で馴致訓練を行うタイマイ
南館「サンゴ礁の海」水槽で馴致訓練を続けてきたタイマイ

タイマイは、甲らがべっ甲細工の原料として昔から利用され乱獲されたことや、生息環境の悪化が原因で絶滅の危惧に瀕しています。 名古屋港水族館では1998年に、日本で初めてタイマイの人工繁殖に成功し、その後も順調に繁殖が続いています。このプロジェクトでは、水族館で生まれたタイマイが、自然の海で無事に暮らし続けることができるかどうかを調べます。

初年度の今年は、2009年生まれのタイマイ20頭に標識を付け、2回に分けて放流します。そのうちの2頭には送信機を取り付け、人工衛星を利用して移動経路を調べます。

マリンダイビング
New 黒島での放流調査の記事が掲載されました。

  • マリンダイビング 2011年11月号
  • 月刊ダイバー 2011年11月号
  • (平成23年10月12日)

7月28日(木) タイマイ出発

放流に先立って、名古屋生まれのタイマイ20頭を黒島へ輸送しました。長時間の輸送に備えて水分補給の注射を打ち、車で中部国際空港に運びました。そして、9時50分発の石垣行きの飛行機で、タイマイと水族館職員2名は出発しました。
黒島
台湾の東、西表島の近くに位置する黒島は名古屋からおよそ1700kmの距離にあります
黒島
黒島は周囲12km、最高標高13mというサンゴ礁が隆起してできた平坦な島です。島の東から南、西にかけてリーフに囲まれています。
トラックに積み込まれるタイマイ
1頭ずつケースに入れられて
トラックに積み込まれるタイマイ。
セントレアを離陸
中部国際空港を離陸。
 水族館を出発して約9時間後の16時頃、日本ウミガメ協議会付属 黒島研究所へ到着しました。タイマイたちを現地の環境に慣れさせるため、放流するまでの間、研究所で飼育させていただきました。黒島研究所は、黒島をはじめ八重山全域のウミガメ類の産卵と海浜環境の調査を行っています。研究所内ではウミガメや黒島で見られる生き物が観察できたり、研 究成果や収集資料をみたりすることができるため、来島する観光客の多くが訪れています。

8月6日(土) 職員3名、黒島へ

第1陣として10頭のタイマイを放流するために、名古屋港水族館の職員3名が現地へ出発しました。この日の前日、台風9号が沖縄を通過しており、飛行機が運航するのか出発時間直前までわかりませんでした。現地入りの延期を考えながら空港で待っていましたが、飛行機の運航が決まって9時50分に無事出発し、定刻に石垣空港に到着しました。
しかし、次は黒島行きの船の運航が不確定な状況でした。午前中の船は全て欠航となっていた中、午後からは徐々に海況が落ち着いてきたため船が出港し、15時40分に黒島へ到着。予定通りに現地入りができ、ほっと一安心しました。
波にけむる黒島
船から見た黒島。
研究所のプールで泳ぐタイマイ
研究所の施設で泳ぐ名古屋港水族館生まれのタイマイ
(左2頭)。

黒島研究所では若月所長と亀田研究員が出迎えてくださり、タイマイたちの元気な姿を確認した後、打合せや放流ポイントの下見を行いました。 今回は10頭を放流し、うち2頭に送信機を取り付けて放流します。標識のみを取り付けた8頭は行動観察がしやすいように、サンゴ礁が海岸部を取り囲んだ礁池(しょうち)がある仲本海岸で放流することにしました。

8月7日(日) 産卵場所の見学、標識・送信機の取り付け

当初はこの日の放流を予定していましたが、台風の影響で海にうねりが残っており、風も強かったため、放流を翌日(8日)に見送ることにしました。もちろん、島全体が遊泳禁止となっていました。
そこで午前中は、若月所長の案内で、野生のタイマイがよく産卵するという西の浜を見学しました。西の浜で、若月所長は砂丘を登ってどんどん茂みの中へ。後に付いて熱帯植物をかき分けながら進んで行くと、茂みの中に目印の鉄筋棒が立っていました。なんと、ここがタイマイの産卵場所だったのです。大きな甲羅を背負ったタイマイがこんなところまで産卵に上がるのかと、とても驚きました。若月所長のお話では、タイマイが産卵する時は砂浜の高いところまで上がったり、茂みの中に入ることは珍しくないそうなのです。
この西の浜には礁池がなく、放流後、広範囲での移動が予想されるため、送信機を取り付けたタイマイの放流ポイントに決めました。

茂みに潜り込むように進む
茂みに潜り込むように産卵場に向かいます。
矢印が目印の鉄筋です
黄色い矢印が産卵場所を現す鉄筋棒。
この下にはタイマイの卵があります。

午後には、黒島研究所で観光客の方を対象に「ウミガメ勉強会」が開かれました。この勉強会は毎日研究所の方が行っていますが、今回は水族館職員が翌日の放流に向けたレクチャーをさせていただきました。東京や横浜などの都市部から観光に来た方が多く、普段接することのないウミガメの生態や放流調査の話を興味深げに聞いてくださいました。

標識を追加したタイマイ
7日に行われた新たなチタン製標識(赤丸内)の装着。
送信機の装着
送信機の装着も行いました。

 

8月8日(月) 海を知らない名古屋生まれのタイマイ、放流

この日は海も風もおだやかで、絶好の放流日和となりました。 9時30分、放流ポイントへ向かうために、タイマイたちをトラックにのせて出発しました。最初の放流ポイントの仲本海岸では、シュノーケリングを楽しむ人たちが集まっており、放流前のセレモニーを行うと観光客や島の方々、マスコミ関係者など約70名が集まってくださいました。 そして、いよいよ放流です。標識を付けた8頭のタイマイを、集まってくださった皆さんと一緒に放流していきました。キョロキョロと辺りを確かめながら沖へ泳いでいくタイマイの様子を、皆でじっと見守っていました。次に、西の浜へ移動しました。送信機を付けた2頭のタイマイは、ゆっくりと砂浜を歩いていき、美しい海へと消えていきました。

第2陣となる残りの10頭は、8月17日に放流を予定しています。

この名古屋生まれのタイマイたちは、私たちにどのような情報を届けてくれるのでしょうか。2頭の送信機装着個体から届く移動経路や、現地のダイバーによる目視調査などで新たにわかった事は、名古屋港水族館のホームページで更新していきますのでお楽しみに。

仲本海岸
仲本海岸での放流の様子。
海へ
「礁池」の外側のサンゴ礁では波頭が立っていますが、内側は穏やかです。
西の浜と送信機をつけたタイマイ
西の浜で海に向かう送信機を装着したタイマイ
海へ
開けた海に泳ぎ出しました。
仲本海岸でのセレモニー
仲本海岸でタイマイを見送っていただいた皆さんと記念撮影。

※この調査は、放流した個体を見つけた人からの報告が重要な手がかりとなります。標識や送信機を付けたタイマイを発見された方は、名古屋港水族館またはウミガメ協議会にご連絡ください。
名古屋港水族館 TEL:052-654-7080
日本ウミガメ協議会付属黒島研究所 TEL:0980-85-4341

このページのトップ